煽情

店のメニューサンプルの一部についてキャプションをつけることになった。んで、それぞれ25字以内で考えて来いと宿題。これが案外むずかしい。まず、どういうことをしたらいいか考えてみた。「おすすめ!」だの「人気!」だので押し付ける文句は嫌いだ。でも、読んだ人が「うひょ、旨そう。俺、コレにするわ。」と感じるだけの訴求力を持たせたい。はしゃがない、だからといってお高く止まってもどうしようもないから、ほどほどに。サンプルがあるのが前提なのでビジュアルで判ることは説明不要。何よりも字数制限。とりあえず、それぞれのメニューの売りを一言ずつ書き出してみる。一品だけ私にはその魅力が説明できないものがあって、それは保留とする。列挙した一言を踏まえてそれぞれざらーっと書いてみた。同じパターンの繰り返しがある。一時に目にされるのだから、同じ語は避けたい。語尾もバリエーションが欲しい。時間を置いて読み返すと修飾語が煩いことに気付く。しかしそれをカットしては意味がない。小さい文字ならきっと、読みたい人だけ読む。それなら少々煩いくらいの方がいいのかもしれない。てことにしておく。
美味しそうに聞こえる言葉ってのは雑誌に溢れている。溢れ過ぎている。正直うんざりしないでもないけれど、美味しそうな言葉を読みたくて雑誌を読んだりもする。美味しそうな言葉を読みたいというのは、ほぼ食欲と同義で、金を払って何かしたい人と広告や雑誌(てか雑誌は広告の塊だ)はそこで繋がっている。欲を煽らせるものこそが商売に繋ぐということなんだろう。もうそのためのテクニックは完備されている。そのテクニックを真似て、乗っかかって、ってぇだけじゃあ面白くない。面白くないから自力で考えてみる。考えて、かなり凡庸をはじき出す。メニューを見る必要のない常連さんたちを除外したら、客層は幅広い。中には煽られてくれる人もいるだろう。くどくどした説明を嫌う人もいる。「コーヒー『で』いい。」という人もいる。
色色だから最大公約数を考えろ、って小さな店でも大きな社会と同じルールで動いているんだなあ。