先週だったか。晴れた日の昼だ。店の中にちいさなこがねむしが仰向けで落ちていて、手足をもぞもぞとさせてもがいていた。店の外へ出してやろうと、指に掴まらせてドアを出て、手を軽く振った。飛んでいくだろうって思ったから、軽く振り払ったつもりだった。かつんという音がして少し離れた電柱のそばに落ちた。仰向けのかたちで動かなくなっていた。私が地面に叩きつけて死なせてしまった。よかれと思っていた。助けるつもりでいた。それで死なせた。振り払ってはいけなかった。