tanpak2007-04-16

地元の大型書店が増床した。映画館だったフロアも売り場になった。天井が高いそこはほにゃ学とか何とかそういう本が背の高い本棚に並んでいる。めさくさ居心地がいい。ウミウシの図鑑とかサル学の本とかを座り読みしながら、疲れたときはここへ来れば幾分か回復できそうだと思う。哲学のコーナーにはやっぱり大きな声で独り言を言ったりする客がいた。
今日は休み。久しぶりに昼過ぎまで寝てた。今から本屋へ行こう。んで早く帰って早く寝よう。

ただいま。
人様が感想を書いていた水木しげるの戦争小説を読んでみたくて、棚の間をうろうろしつつ、けっきょく店員さんに調べてもらうと絶版になっていた。がっくしきた。しかし、今日は、本のがっくしは本で取り返せと言わんばかりのできごとが。売り場のすみっこに保坂和志の「羽生 21世紀の将棋」があった!クララが立った!以前ここで調べてもらったときには、絶版になってずいぶん経つから古書店を探すしかないと言われたから、この出会いはすごいことなのよ。古本屋さんに行くたび探したけどみつからなくて、周りの人にも捜索の協力をお願いしてて、それでもなくて。後ろ見たら「97年6月初版第二刷」とあるから、10年前の本なのね。改装のときに倉庫かどっかからぽっと出てきたのか、まさか問い合わせを憶えていてくれた店員さんがいて何かうまいこと入れてくれたのか、本屋の妖精さんがそっとくれたプレゼントなのか。都会の奇跡ってあるんだね。水木しげるの残念を自棄買いで晴らして、帰り際ついでにちょっと将棋の棚に足を延ばしたら、いちばん下のすみっこにそっと。
私は将棋を全く知らない(知ろうともしない)将棋界好きで、ルールのことはわからないけれど、指す人たちが何を考えているかにはものすごく興味がある。勝負に生きる人たちの人生という意味でも、頭脳と精神のスポーツという意味でも、直接的な生産性のない業界という意味でも、特殊なプロ規定の存在も、キャラクターで見る棋士たちも、もう何から何までもろもろ惹きつけてやまない。こういうファンは特異なのかも知れないけど、私は私で将棋ってもんを面白がっているんですよ。棋士の著書も読めるものなら読みたいし(できるだけ棋譜が少ないものってことだけど、当然のことながらあんまりないんだよね)将棋について書かれたものなら気になる。それが保坂和志なんて人の手なら尚更。と、将棋と保坂さんってふたつの要素に対して同時にがっと反応する人口が少ないだろうということも判らなくもない。でもこれは私にとって真田広之がスワローズのユニフォームを着たのと同じくらいすばらしい組み合わせなのです。読むのが楽しみだけど、自棄買いした本も順に片付けていかなきゃなあ。