山羊やんにお金を借りた。生まれてきてすみませんと私の金銭感覚が叫びます。
タダ券をいただいていたので海辺の美術館へ行った。海はいつもより小さな三角の波が並んでいて、人一倍注意力が散漫な私の目にも跳ねる魚がたくさん見えた。補助輪つきの自転車に乗った女の子をまとわらせながら若いお母さんが夕餉の足しに青身の魚を釣っていたのは、少し現実味が薄れる程のどかな光景だった。よい風が吹いていると思ったら凧をあげている人もいて、老人や犬やインド人がそれを見上げたりしていて、そこは殺伐の対岸だった。
シルクロード展はつっこみを期待しているかのような(あるいは大喜利のお題のような)かわいいものがふんだんにあり、楽しめた。ただ、一部の展示品のキャプションが若干主観的すぎたんじゃないかしらとか、最後の部屋に響いていた松平キャスターの声とか、鼻白んでしまうこともあった。
電車に乗って帰るつもりでいたけれど、海の風が涼しくて、老いも若きもあちこちで花火をしていて駅に向かうより海沿いを歩く方が気持ち良かったのでけっきょく一駅分ふらふら歩いた。
家に帰って、タダ券の有効期限を一カ月読み違えていたことに気づく。