もうすぐ一年が経つんだなあとふわあっと考えていたら、長らく手にとらず読んでいなかった中島らもの既刊を買っていた。で、読んでいた。改めて、結果的に彼の晩年となった4,50代、あれは中島らもでなかったら悲惨な状態だったのだなあと感じ入る。中島らもであったので悲惨ではないけれど洒落にはならない。躁病で、切符を買うのにお金を出すことを思い付けなくて煙草を差し出すとかね、普通に朦朧としていたらしいから、えらいこっちゃで。かつて大酒を止すに至ったきっかけは劇団の子に「このままだとらもさんが廃人になってしまう」と泣かれたからだそうだけど、そう語りつつ何やら危ういエピソードは留まるところを知らない。実際に会えばきっと、とっくにずばり廃人と思わせる域にあったんじゃないかしら。(お店のお客で何を言っているのか3割も聞き取れないライクア浮浪者がいるけれど、たぶんあれ以上だったんじゃないかと思う)しかしまるで廃人である自分の行いや容態を客観的に語れるところが中島らもというプロなのだろうなあ。